Excelエラー1つで業務が止まる…【DX事例編】(2/3)

Excelのエラーで、午前の仕事がすべて止まった。
でも業務が止まった問題の本質は、Excel内の難しい関数やバグではなかったんです。
「ファイルがどこにあるか分からない」
「手順や判断が、人によってバラバラ」
そんな**“ちょっとした曖昧さ”**の積み重ねが、
エラー1つで業務全体が止まる構造をつくっています。
この業務全体が止まる構造を解消することが、DX化を進める本質。
しかし、DX化を進めると言っても、ただ“ツールを導入する”だけでは意味がありません。
問題の本質は、情報のバラつきや作業の属人化といった、日々の曖昧さ。
前回の記事では、DXの進め方として「整理 → ルール設計 → ツール導入」が大事という話をしました。
今回はそのステップを、実際の企業の事例で具体的にお届けしていきます!
このメディアでは、全3話に分けて、DXの進め方やポイント、最初の1歩目などをお届けしていきます!
Excelエラー1つで業務が止まる…
【DX解決ポイント編】(1/3)
★【DX実例編】(2/3)
【DX最初の1ステップ編】(3/3):6/10公開予定
実際のDX化事例
CaseA:アナログ体制の受発注業務から脱却――紙と記憶に依存しない
CaseAは、数千点以上のの商品を取り扱う専門商社での事例。
扱う商品は小さく、しかも類似品が非常に多いため、ミスの温床になりやすい環境でした。
課題:紙をベースとしたアナログ処理がミスの温床に
数千点以上の商品を扱っている中で、受発注業務を紙をベースとした処理をしていました。
そのため、情報の一元化が出来ておらず、検索やソート等もできないため、探す手間がかかり時間も無駄にかかってしまう。
さらには、類似品が多く、運用は担当者の記憶に頼る場面も多く、納品ミスや数量間違いが発生している状況でした。
解決方法:業務フローの整理→ツールの導入とマニュアル整備による標準化
まずは、業務全体のフローを図式化し、どこで情報が滞るのかを整理。
そのうえでA社の業務に合わせたSaaS型のツールや元々A社で使用していたツールを活用し、クラウド上でのデータ管理をすることで、情報の一元化を実現しました。
さらに、操作手順やルールをまとめたマニュアルを整備し、初めて使うツールでもスムーズに処理が出来るようにしたうえで、
担当者が変わっても日々の運用を問題なく遂行できる体制を構築しました。
効果:ミスの減少と業務の安定化
受発注ミスや数量違いといったヒューマンエラーがほとんど見られなくなり、
主要取引先からのクレームも解消に向かいました。
また、操作や判断の基準が明確になったことで、業務の精度やスピードの向上にもつながりました。
さらに、今後の人員交代にも備えられる、“誰でも回せる仕組み”の土台が整いました。
CaseB:Excel台帳“迷宮”を棚卸し――統一ルールで混乱解消
CaseBは、数万人規模の社員を抱える全国展開の企業での事例です。
異動や転勤が多く、それに伴う社宅の移動も頻繁に発生するため、運用面でさまざまな課題が生じていました。
課題:Excel台帳の転記作業に追われていた
当社では、社員が住む社宅管理をExcelで行っていました。
しかし、使用していたExcelの関数がバグが発生していることに加え、バージョンが複数あり、管理が煩雑化。
それに伴い、各拠点でそれぞれ違った独自の工夫をして、物件の管理をしていました。
その結果、同じ情報でも拠点ごとに管理方法が異なり、全体として整合性が取れない状況に陥っていました。
さらに、情報の一元化が出来ていない影響で、本社と各拠点での認識違いも発生したり、転記や二重管理が多数発生。
借入・解約の申請フローも可視化が出来ておらず、その結果業務のミスや遅延に繋がっていることが課題となっていました。
解決方法:全体的な業務フローの整理と可視化・最適な打ち手の選定
まずは、現場と本社の両方にヒアリングを実施し、業務フローと情報の流れを一から棚卸。
そのうえで、業務のどこにボトルネックがあるかを明らかにし、フロー図をベースに3つの改善パターンを提示しました。
効果やコストの見通しを明示することで、「どこから手を付ければいいか」を判断しやすい状態に整え、最適なツール選定まで行いました。
効果:次の一手に向けた土台が整った
業務の棚卸しと可視化によって、何をどう変えるべきかが明確化されました。
今後の判断に役立つ土台が整い、導入すべき最適なツールが明確になったことで、スムーズな業務改革の第一歩が踏み出しやすくなりました。
実例から見えた共通点――やっぱり“最初に整理”がカギ
どちらの企業も、いきなりツールに頼ったわけではありませんでした。
共通していたのは、**「まず業務や情報を整理すること」**から始めていた点です。
たとえば…
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CaseAでは、紙と記憶に頼っていた受発注業務を見直し、業務フローを図式化。どこに課題があるかを明確にしたうえで、既存のツールも活かしながら仕組みを整備しました。
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CaseBでは、現場の声をもとに認識のズレや業務上の課題を洗い出し、それに即したフロー整理を実施。さらに、課題解決に適したツールを選定し、運用面への落とし込みまで見据えた改善提案を行いました。
DXを進めるカギは、単なるツール導入ではなく、必要な整理をしたうえで、最適なツールを導入すること
──そうでないと、現場に余計な混乱を生んだり、せっかくツールを導入したのに結果使われない、という事態に陥ってしまいます。
📌 DXを進めるためのポイントは、「業務・情報の整理 → 最適なツール選定 → 運用への落とし込み」
📌 ツールは“入れること”より、“使いこなせること”が本質
今回の事例は、それを地道に実行した2社のリアルな記録でした。
「うちの場合は?」――まずは30分のオンライン相談から
業務の整理、といっても
「どこまでやればいいのか?」
「うちの業務だと、どう手を付けるべきなのか?」
といった疑問や不安もあると思います。
私たちは、日々さまざまな現場のDX化に携わる中で、
**「整理の切り口」や「最初の問いの立て方」**をご一緒に考えることから支援しています。
まずは30分のオンライン相談で、
**「どこが課題になっているか」**を一緒に見つけてみませんか?
次回【第3話】は“最初の1ステップ”をご紹介
全3話でお届けしているこのシリーズ、
次回はいよいよ最終話──
「DXってどこから始めればいいの?」
「思ったよりDXって大変そう…」
そんな声に、“ファイル/データ整理”という身近なテーマからお答えしていきます。
日々使っているExcelやフォルダ、データ──
実はこれらこそが、DXの入り口。
複雑な仕組みやツールよりも、まずは身近な“使っているもの”から整理することが、
**無理なく始められる“最初の1ステップ”**なんです。
ファイル整理から始めるライトDX、次回の記事で具体的にご紹介します。
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